医学生・研修医のための
家庭医療学夏期セミナー

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最終更新日 2006.07.31

第18回家庭医療学夏期セミナー 2日目セッション

 2日目は選択制のセッションを開催します。セッションは3コマあり、それぞれ特徴ある内容を計画しています。コマごとに開催するセッションが異なりますので、ご注意ください。一部セッション紹介文など詳細が未定のセッションがございます。未定のものに関しては決定しだい順次更新してまいりますので、今しばらくお待ち下さい。

セッション名 1コマ目 2コマ目 3コマ目
臨床倫理の考え方    
おせっかいだけど おしつけない 〜日々の外来での予防医学〜    
膝と腰の診察の極意    
プライマリケアで用いる漢方治療  
家庭医らしい高齢者の外来診療    
プライマリ・ケアにおける小児の診方    
医療経済    
家族へ関わる!  
ウィメンズヘルス  
家庭医療とリハビリテーション  
これであなたもおせっか医!〜 家庭医らしい外来診療とは?2 〜  
身体診察初級  
外来でよく見るこころの問題へのアプローチ  
認知症高齢者を中心とした在宅ケア・医療  
異文化コミュニケーション〜毎日が異文化交流!〜    

臨床倫理の考え方

講師名・所属
(敬称略)
白浜雅司 佐賀市立国民健康保険三瀬診療所/佐賀大学医学部 
対象 できれば臨床実習の経験のある高学年の学生さん、研修医以上が理解しやすいと思いますが、低学年でも医療現場での倫理的問題に関心のある方は得るものがあると思います。
セッションの紹介  射水市の延命治療の中止の事件などの臨床現場での倫理的な問題が社会的にも話題になっていますが、臨床現場で倫理的に対応するとはどういうことなのかについての教育や方法論の確立はまだ日本でははじまったばかりです。できるだけ実践的な事例をもちいて、その事例に関係する者が納得できる結論を導き出すにはどうしたらいいのか、一緒に考えてみたいと思います。事前にこのWSに参加を希望される方はぜひ自分がこれまでの生活の中で、あるいは臨床実習で出会った臨床における倫理的な事例について、申し込み時に提示いただければ感謝です。何が臨床倫理の問題かについては、以下の臨床倫理の討論のHPが参考になるかもしれません。
http://square.umin.ac.jp/masashi/discussion.html
日程 2コマ目

おせっかいだけど おしつけない 〜日々の外来での予防医学〜

講師名・所属
(敬称略)
藤原靖士 奈良市立 月ヶ瀬診療所
小林真也 奈良県立医大 呼吸器内科
佐伯圭吾 奈良県 曽爾村国民健康保険診療所
宮本雄一  県立広島病院 総合診療部  
吉本清巳 奈良県 十津川村国民健康保険小原診療所
朝倉健太郎 奈良県 大福診療所
対象 興味のある方。外来診療に興味のある方であれば低学年でも可。
セッションの紹介  「食事を減らしてください」「運動してください」「タバコをやめてください」「お酒は減らしてください」・・・これだけ言って、患者さんがやってくれれば、こんなに楽なことはありません。でも、「わかっちゃいるけど、やめられない」のが「人の常」です。私たちも自分の身を振り返れば、えらそうなことは言えないのでは?
 特に、今、痛くもかゆくもなんともないことには、なかなかその気になれません。
 将来のリスクを予防するために、患者さんがその気になって、「行動変容」するために、私たちはどうしたらよいのでしょうか?「家庭医」の立場で、どのようにしたら患者さんや地域住民の役に立つことができるのでしょうか?
 皆さんと一緒に、ロールプレイで経験しながら考えていきたいと思います。
日程 1コマ目

膝と腰の診察の極意

講師名・所属
(敬称略)
仲田和正 医療法人社団健育会 西伊豆病院院長
対象 高学年および研修医
 内容が具体的な診察内容ですので、低学年では興味が持てないと思います。
セッションの紹介  皆さんは、内科的な身体診察については大学の講義で詳しく学ばれると思います。しかし診療所では整形外科的な訴えも大変に多いのです。
 私は、内科、小児科と整形外科ができれば僻地診療所であっても90%以上の患者さんに対応できると思っております。プライマリーケアの現場では、それほど重要な整形外科であるのに新医師臨床研修制度になぜか整形外科が入っておりません。
 このセッションでは整形疾患の中でもとくに訴えの多い膝と腰の診察についてお話します。抽象論を廃し、翌日から即、使える知識を提供いたします。ケアネットテレビでも特に視聴満足度の高かった内容です。
日程 3コマ目

プライマリケアで用いる漢方治療

講師名・所属
(敬称略)
野上達也 富山大学和漢診療学講座
対象 全学年
セッションの紹介  私は、将来良い家庭医になりたいと思っている駆け出しの漢方医です。漢方医学と聞くと、「特殊な代替医療」と認識されがちですが、決してそんなことはありません。問診と漢方医学的身体所見の聴取から患者の漢方医学的な病態(証)を捕らえることで、高価な医療機器を使用することなく、様々な病態に対して高い臨床効果が得られる我が国伝統の実践医学です。現代医学的には対応が難しい病態に対して全く違った方向からアプローチができるという点で、西洋学に精通した上で漢方を学ぶことは「鬼に金棒」と言えるでしょう。漢方薬には公的保険が効きますし、その処方に当たって特殊な資格を必要とすることもありません。プライマリケアの領域では非常に有用だと考えています。今回のセッションでは限られた時間の中ですので、漢方医学の基本的知識と、書物からでは実感にしくい脈診・舌診・腹診について、実技を中心にご経験いただきたいと考えています。また、臨床で役に立つコネタをお土産に用意いたしますのでお楽しみに。対象は漢方に興味がある方ならばどなたでも結構です。
日程 1コマ目、3コマ目

家庭医らしい高齢者の外来診療

講師名・所属
(敬称略)
藤沼康樹 日本生協連医療部会家庭医療学開発センター
横林賢一 浮間診療所
春田淳志 東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院
対象 家庭医療と高齢者医療に関心のある医学生〜研修医およびコメディカル
セッションの紹介  日本は先進国の中でも突出した高齢化社会となりました。地域のなかで高齢者をケアしていくことが、21世紀日本の家庭医に求められる大きな課題となっています。そして、高齢者は複雑な健康問題を抱えていることが多く、それらを包括的にマネージメントする必要があります。また、生物医学的診断治療で、直線的に解決できることは少なく、生物心理社会倫理的な枠組みが必要となります。今回のセッションでは、複雑な高齢者の実際のケースに基づき、家庭医療や老年医学(geriatrics)の研究から生まれたいくつかの有用なマネージメントのツールである、高齢者総合評価(comprehensive geriatric assessment)と病い表現(illnesspresentation)について集中的に学びます。

参考文献:藤沼康樹(訳)「プライマリ・ケア老年医学」(プリメド社)
日程 1コマ目

プライマリ・ケアにおける小児の診方

講師名・所属
(敬称略)
北西史直 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 
対象 医学部高学年から研修医
セッションの紹介  今までの日本の小児プライマリ・ケアは小児科医の独占状態であった気がします。しかし、学会が認めた家庭医療後期研修プログラムの正式スタートも目前になり、老人の診療もきちんとしたい、でも子供の診療もきちんとしたいという医学生・医師に家庭医という新たな道が開けたといっても過言ではありません。

 老人も、在宅も好きだけど、子供も大好きな医学生や初期研修医の方に、小児のプライマリ・ケアのおもしろさをなんとかお伝えしたいと思います。
 内容は、初診患者さんの特に発熱を中心に、診断推論をしていきたいと思います。

日程 1コマ目

医療経済

講師名・所属
(敬称略)
富塚太郎 カレスアライアンス東室蘭サテライトクリニック
岡田唯男 亀田メディカルセンター
対象 学生から研修医まで
セッションの紹介 「医師を医師足らしめる知識は、病態生理と数字だ」
「患者中心の医療・家族志向型の医療も“患者にまつわる数字”を理 解することなく、達成することはできない」
私が家庭医療レジデントとして研修していた時に、指導医にいわれた 言葉である。

 「医療経済」と冠うったこのセッションであるが、いわゆる学問としての「医療経済学」ではなく、患者にまつわる数字を理解し、患者の個々の経済環境に配 慮できるようになる ために、以下の内容を目標とし2部構成を考えている。
 前半では医療にまつわる様々な指標・統計を概観し、時間的変化や国際的比較をふまえたうえで、自分の知識・感覚と実際の数字とのギャップを体感し修正することを行ってみたいと思います。後半では実際のケースを通して患者さんのバランスシート(収入と支出)とその中で占める医療費の割合などを基礎に、日本の医療保険制度について学びたいと思います。
 みなさんの参加をお待ちしています!

日程 2コマ目

家族へ関わる!

講師名・所属
(敬称略)
吉本 尚 奈義ファミリークリニック
清田実穂 横浜南共済病院 麻酔科
菅家智史 勤医協中央病院
対象 どなたでも。低学年・初心者も歓迎です!
セッションの紹介  なかなか問題解決へ至らない患者さん。検査や薬だけでなく、患者さんともいろいろお話しして…。自分も患者さんも努力はしているけれど、なかなか問題解決に至らない…。こういうことは実際の医療現場にたくさんあります。こんなとき、患者さんの家族との関わりを持つことで解決の糸口が見つかることがあります。家族を呼ぶのに抵抗がある。1対1でも大変なのに、1対多数なんて辛い。なんていうアナタ、このセッションを通じて、家族への関わり方を体験してみませんか? 患者さんの家族に会い、関わることで新たな世界が見えてきます。
 当日は、外来でよく見かける患者さんを題材にして、参加者の皆さんにロールプレイを行っていただく予定です。講師陣3人によるデモンストレーションは一見の価値あり。ご期待あれ。
日程 1コマ目、2コマ目

ウィメンズヘルス

講師名・所属
(敬称略)
井上真智子 北部東京家庭医療学センター/北足立生協診療所
田頭弘子    所属なし
西村真紀  川崎医療生協・久地診療所
平山陽子  東京ほくと医療生協 王子生協病院
対象 セッション(1) 主に低学年・中学年向け
セッション(2) 主に高学年・研修医向け
セッションの紹介  家庭医として一般の女性患者さんの診療にかかわるとき、女性特有の身体的問題のみならず、それらと関連した心理・社会的問題へのアプローチが重要となります。また、ライフサイクルに応じた保健予防や健康増進へのとりくみを行うことも大切な課題です。女性を診るということは、「家庭医らしさ」が大きく発揮できる診療場面といえるでしょう。
 セッション(1)では、家庭医として女性の患者さんに対するときの理論的な枠組みをおさえ、女性患者さんをとりまく問題の拡がりと家庭医の視点について考えていきます。ウィメンズヘルスを考えることにより、家庭医診療のおもしろさ、醍醐味に触れていただくことができるでしょう。
 セッション(2)では、ある程度、家庭医療について知っている方を対象に、実戦に役立つようなより具体的な内容を中心にとりあげます。月経に関連した問題、妊娠・出産・子育てに関する問題、更年期や老年期の問題、避妊や性行動の問題、保健予防へのとりくみなどの中から、テーマを選択してディスカッションします。
 学年にかかわらず、興味によってはどちらを選択していただいても構いません。
日程 1コマ目:セッション(1) 主に低学年・中学年向け
2コマ目:セッション(2) 主に高学年・研修医向け

家庭医療とリハビリテーション

講師名・所属
(敬称略)
若林秀隆 済生会横浜市南部病院リハビリテーション科
対象 初学者(低学年から研修医まで)
セッションの紹介  家庭医療にはリハビリテーションが含まれ、共通する部分が多くあります。そのためリハビリテーションは、家庭医が身につけておきたい領域の1つです。
 しかし、リハビリテーションや障害の本当の意味を説明できる人は少ないと思われます。大学や臨床研修病院によっては、リハビリテーションの基本さえ学習する機会がほとんどありません。リハビリテーションの視点での機能評価(国際生活機能分類:ICF)を身につけると、障害を持つ患者さんの評価をより全人的にできるようになり、診察の幅が広がります。
 具体的には、症例を通して国際生活機能分類を実際に使用して、どのようにアプローチしていけばよいかを小グループで検討します。
 「リハビリテーションとは?」と聞かれて、パッと答えることができない人の参加をお待ちしています。
日程 2コマ目、3コマ目

これであなたもおせっか医!〜 家庭医らしい外来診療とは?2 〜

講師名・所属
(敬称略)
菅野哲也 東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院 地域総合内科
本村和久 東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院 地域総合内科
三船真二 東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院 地域総合内科
高橋 慶  東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院 地域総合内科
対象 医学部高学年〜
セッションの紹介  昨年のセミナーで大盛況だった「家庭医らしい外来診療とは?」の続編です。とはいえ、今度はすこし毛色を変え、よくある健康問題への介入をお勉強します。そんなの余計なお世話、おせっかい?
   つまり「おせっか医」への道を伝授します。
 各ライフサイクルに起こる問題への介入を実際のロールプレイを通して学びます。医学部高学年から上で、外来、とくにsocial problemに興味のある方、ぜひご参加ください。
 今年も役に立つ小冊子をお配りする予定です、期待してください!
日程 2コマ目、3コマ目

身体診察初級

講師名・所属
(敬称略)
鈴木富雄 名古屋大学医学部付属病院 総合診療部
対象 低学年〜
セッションの紹介 「画像診断がこんなに発達してるのに、身体診察って本当に必要なの?」
「身体診察って本当に役に立つの?」
こんな疑問が頭をよぎったことはありませんか?
 このセッションでは、身体診察手技を実際に行うことで、その重要性と奥深さの一端を体験して頂きます。セッション終了後も、あなたが身体診察への高いモチベーションを持ち続けることが出来るようなものにしたいと思っています。さぁ、身体診察を通して「本物の医療者」としての第一歩を共に踏み出しましょう!
準備も何もいりませんので、気軽にご参加下さい。(もし持っているのであれば、聴診器をお持ち下さい。)
日程 2コマ目、3コマ目

外来でよく見るこころの問題へのアプローチ

講師名・所属
(敬称略)
中村明澄 筑波大学付属病院
対象 全学年
セッションの紹介  「こころの問題」は外来でよく出会う健康問題ですが、「こころに問題があります」といって患者さんがいらっしゃるわけではないですよね。「頭が痛い」「胃がむかむかする」「だるい」といった症状でいらっしゃるケースがほとんどです。臨床現場に出たことがある方なら「う〜〜ん、症状を説明できる器質的な疾患がないなぁ・・・。」と途方に暮れた経験が一度はあるのではないでしょうか? セッションの前半部分では、患者さんの訴えから器質的な疾患を除外しこころの問題にたどり着くまでの過程を一緒に考えてみたいと思います。
 後半は、治療につながる対応の仕方についてお話ししたいと思います。問題が「こころ」にあるとはいっても、決して「気のもちよう」でどうにかなるものではありませんし、緊急性が高く致死的疾患の場合もありますから、「こころの問題」にも適切な治療が必要です。
 臨床の場ですぐに使えるアプローチの仕方をお伝えできるよう頑張りますっ!
日程 1コマ目、3コマ目

認知症高齢者を中心とした在宅ケア・医療

講師名・所属
(敬称略)
桜井 隆 兵庫県 さくらいクリニック
亀井三博 名古屋市 亀井内科・呼吸器科
古屋 聡 山梨県 塩山診療所
川越正平・竹田幸彦 千葉県 あおぞら診療所
対象 在宅医療に関心のある方なら学年は問いません
(セッション参加にあたって、事前に診療所での在宅医療を見学されたいという方、歓迎します。)
セッションの紹介 在宅医療では、さまざまな生活環境や家族関係をもった患者さんと長い関係を築いていくことになります。そこでは医師としての知識・技術に加えて、衣食住・行政サービスなどを含めた患者さんの生活にも気を配ることが必要なのです。
 このセッションでは、講師が実際に経験した認知症高齢者のケースを取り上げ、「患者さんの生活を支える」という視点から医師がどのように関わることができるのか参加者の皆さんと一緒に考えていきます。
日程 2コマ目、3コマ目

異文化コミュニケーション〜毎日が異文化交流!〜

講師名・所属
(敬称略)
岡田唯男 亀田メディカルセンター 家庭医診療科
対象 対象はどなたでも結構です(低学年の人は社会人経験のある方や「患者」として医療機関にかかった経験のある方が望ましいです)
セッションの紹介 全ての人が必ず「偏見」を持っています。
人の肩書きや身なりで勝手な思い込みをしていませんか? 
逆に同じように見えるというだけで、家族や恋人のように親しいというだけで、「自分と同じ考えのはず」と思い込んで失敗していませんか?
 臨床現場でのトラブルの多くはコミュニケーションの問題から生じますが、「(無意識の)思い込み」が大きな原因の一つです。異文化との交流を考えることで無意識の思い込みに気づき、それを意識した上でのコミュニケーションを目指すことができれば、「究極の個別化の医療である家庭医療」の実践において、そして毎日の周りの人とのコミュニケーションで大きな一歩を踏み出せるのではないでしょうか。
 コミュニケーショントラブルの陰に潜む「(無意識の)思い込み」について参加型のセッション形式で楽しく、そして真剣に理解を深めたいと思います。

対象はどなたでも結構です(低学年の人は社会人経験のある方や「患者」として医療機関にかかった経験のある方が望ましいです)

日程 3コマ目