医学生・研修医のための
家庭医療学夏期セミナー

これまでの活動

メーリングリスト

書籍情報

リンク

最終更新日 2007.07.27

第19回家庭医療学夏期セミナー 2日目セッション

 2日目は選択制のセッションを開催します。セッションは3コマあり、それぞれ特徴ある内容を計画しています。コマごとに開催するセッションが異なりますので、ご注意ください。セッション紹介文など詳細が変更になった場合は順次更新していきます。ご自身の参加するセッションが決まった後は時々自分のセッションに変更がないかチェックしていただけますようよろしくお願いいたします。

セッション名 1コマ目 2コマ目 3コマ目
アルコール依存症−酒は百毒の長−    
予防医学をうまく行うには?−行動科学的アプローチー  
病の体験に迫る  
まる子の一生 −家庭医として女性を支援する−  
帰ってきたおせっか医! 〜 家庭医らしい外来診療とは 〜  
外来でよく見るこころの問題へのアプローチ  
あなたの家にかえろう〜住み慣れた家で死ぬということ〜    
発表が「楽しく!」なるプレゼンのコツ〜家庭医療を伝えてみよう〜    
鑑別診断を考えた身体診察法の学習  
家族志向型ケア  
身体診察初級    
プライマリケアで用いる漢方  
医療資源をあやつる    
膝と腰の診察の極意  
異文化コミュニケーション    

アルコール依存症−酒は百毒の長−

講師名・所属
(敬称略)
松岡 角英  船橋二和病院/ふさのくに家庭医療センター
高木 暢  船橋二和病院/ふさのくに家庭医療センター
対象 興味のある方。アルコール依存症に関心がある方なら低学年でも可。
セッションの紹介   みなさんはお酒が好きですか?「酒」は「適量飲酒」である限りメリットも大きく昔から人々に愛されてきました。 しかし、「酒は百薬の長 酒は百毒の長」「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起これ(徒然草)」 「酒はのむとものまるるな」などのことわざに代表されるように、飲酒のコントロールを失ってしまった後の深刻な問題に人々は悩まされてきました。  
   アルコール依存症は誰でもかかる病気です。「身体」と「心」と「生活」が侵され、家族も社会も巻き込まれ、進行性で「死」に至る病気です。しかし、治療をすることができ、回復には「家族・地域・社会」の助けを必要とします。
 「一杯は人酒を飲む 二杯は酒酒を飲む 三杯は酒人を飲む」 
 みなさんとロールプレイも交えながらこの問題について一緒に考えていきたいと思います。
 (注:残念ながらセッション中にお酒は出ません。)
日程 3コマ目

予防医学をうまく行うには?−行動科学的アプローチー

講師名・所属
(敬称略)
松下 明  奈義ファミリークリニック
対象 医学生(どの学年も)・研修医・臨床医
セッションの紹介  「行動科学」という言葉をご存知ですか?患者さんの心理状態を把握して、日常診療に生かすアプローチ法ですが、米国・カナダの家庭医研修では必須の項目となっています。タバコ、アルコール、肥満など予防医学的な介入が必要な患者さんで、行動変容が難しいときにこの「行動科学」が威力を発揮します。
  セッションを通して、具体的な方法論を知るだけでなく、実際に自分が医学生・研修医の立場でこれを実践できるようになることを目標としています。
日程 2コマ目、3コマ目

病の体験に迫る

講師名・所属
(敬称略)
草場 鉄周(北海道家庭医療学センター 所長)
中川 貴史(町立寿都診療所 所長)
泉 京子(医師4年目)
松井 善典(医師3年目)
村田 亜紀子(医師3年目)
加藤 光樹(医師2年目)
対象 家庭医療に関心のある医学生・研修医(医学生はできれば臨床現場にふれたことのある人が望ましい)
セッションの紹介  皆さんは臨床の現場で強く心を揺り動かされた経験はありますか? 最も患者に近い立場の医学生・研修医の頃こそ、一般人としての素朴な感性と医療の専門家としての観念が激しく交差し、様々な葛藤が生じうる難しくも大切な時期です。この時期をいかに過ごすかは、医師としての一生の姿勢・態度に大きな刻印を残し、家庭医を目指す人にとっては特に意義深いでしょう。
 このセッションでは、そうした皆さん自身の体験を振り返る機会を提供しながら、一人一人にとって「病(やまい)の体験」が持つ意味を考えていただこうと思っています。そこから何が見出せるかは参加する人によって異なるでしょう。家庭医に関心のある皆さんにとって味わい深い経験となるようお手伝いしていきます。ご参加、お待ちしています。
日程 1コマ目、2コマ目

まる子の一生 −家庭医として女性を支援する−

講師名・所属
(敬称略)
川尻 英子  北中城若松病院・ファミリークリニックきたなかぐすく
井上 真智子  北足立生協診療所
安来志保  東京西部保健生協 せいきょう診療所
対象 どなたでも
セッションの紹介  女性のライフサイクルについて学ぶセッションです。
ある平凡な女性、まる子の一生を追っていきます。
みなさんがまる子の家庭医になったつもりで、親身になってサポートをしていただければ幸いです。

 女性も男性も楽しくディスカッションしましょう。

日程 1コマ目、2コマ目

帰ってきたおせっか医! 〜 家庭医らしい外来診療とは 〜

講師名・所属
(敬称略)
菅野 哲也  王子生協病院 地域総合内科
春田 淳志  王子生協病院 地域総合内科
村山 慎一  王子生協病院 地域総合内科
田 直子    王子生協病院 地域総合内科
本村 和久  王子生協病院 地域総合内科
横林 賢一  医療生協家庭医療学レジデンシー・東京
渡邉 隆將  医療生協家庭医療学レジデンシー・東京
斎木 啓子  医療生協家庭医療学レジデンシー・東京
対象 医学部高学年〜
セッションの紹介

 昨年のセミナーで行った「これであなたもおせっか医」の続きです。各ライフサイクルに起こる問題への介入を実際のロールプレイを通して学びます。そんなの余計なお世話、おせっかい?つまり「おせっか医」への道を伝授します。
 医学部高学年から上で、外来、とくに心理社会的問題に興味のある方、ぜひご参加ください。今年もささやかなおまけがあります。

日程 1コマ目、2コマ目

外来でよく見るこころの問題へのアプローチ

講師名・所属
(敬称略)
中村 明澄  筑波大学付属病院
対象 全学年
セッションの紹介

 「こころの問題」は外来でよく出会う健康問題ですが、「こころに問題があります」といって患者さんがいらっしゃるわけではないですよね。「頭が痛い」「胃がむかむかする」「だるい」といった症状でいらっしゃるケースがほとんどです。臨床現場に出たことがある方なら「う〜ん、症状を説明できる器質的な疾患がないかなぁ・・・。」と途方にくれた経験が一度はあるのではないでしょうか? セッションの前半部分では、患者さんの訴えから器質的な疾患を除外し心の問題にたどり着くまでの過程を一緒に考えてみたいと思います。
 後半は、治療につながる対応の仕方についてお話したいと思います。問題が「こころ」にあるとはいっても、決して「気の持ちよう」でどうにかなるものではありませんし、緊急性が高く致死的疾患の場合もありますから、「こころの問題」にも適切な治療が必要です。
 臨床の場ですぐに使えるアプローチの仕方をお伝えできるよう頑張りますっ!

日程 1コマ目、3コマ目

あなたの家にかえろう〜住み慣れた家で死ぬということ〜

講師名・所属
(敬称略)
桜井 隆   さくらいクリニック
対象 どなたでも
セッションの紹介  病気や障害があっても、住み慣れた家でゆったりと過ごし、有終の美を飾る、そんなかつては当たり前だったことがかなわぬ夢となってしまった21世紀の日本。病院死が、在宅死を越えたのはたった30年前。今なお病院死が増え続けている。去り逝く人を家で、地域で見送る“看取り”の文化を喪失してしまった日本人。10人中8人以上が病院で死ぬ、という国は世界中、歴史上を見わたしても、21世紀の今の日本だけ、という現実をあなたはどう思いますか?

  “あなたが願うなら家でもだいじょうぶですよ”と住み慣れた家での看取りをサポートする。日常診療の延長としての看取りをふわっと支える、そんな“生、老、病、死”に寄り添うケアが家庭医として自然にできればいい。症状コントロール、ペインコントロールだけでなく適切な予後予測や、揺れ動く本人、家族をさりげなくサポートするケア。

 あなたは、「もう私は死ぬのですか?」という問いにどう答えますか?
 「残されたじかんは?」という問いにどう答えますか? 
 残された家族にどのような言葉をかけますか?
 マニュアル通りの対応で間に合うのだろうか?
 自らが死生観を持たなければ看取りの場に立ち会えないのだろうか?


 そんな、看取りの場での作法についてみんなで考えたいと思います。

日程 3コマ目

発表が「楽しく!」なるプレゼンのコツ〜家庭医療を伝えてみよう〜

講師名・所属
(敬称略)
齊藤 裕之  東京医科大学 総合診療科
佐藤 健一  医療法人 篤友会 関西リハビリテーション病院 リハビリテーション科
岡田 唯男  亀田メディカルセンター 家庭医診療科
対象 プレゼンを楽しみたい!全ての学生・研修医 。表現力に興味のある方全て!
セッションの紹介  家庭医療って一言では伝えにくい。
 だから、家庭医として生きていくために“伝える作業”をずっと意識してきました。学生の時から医者になって現在もずっと・・・。

 ・自分の伝えたいことをしっかり伝えたい!
 ・伝えることがもっと楽しくなりたい!
 ・こんな表現の方法ありまっせ!

そんなことを考えているあなた!このセッションで一緒に“伝える作業”を楽しんでみませんか?

今回はpower pointを使って、あなたの感じている『家庭医療』をあなたなりに伝えてみましょう。『家庭医療』に関する詳しい知識なんて関係ないから。あなたの伝えたい家庭医療が如何に伝わるかが大事なんです。

*WSは参加者の中から10名程度の有志を募集して、power pointで『家庭医療』をプレゼンしてもらいます。制限時間は3分です!

                                文責 齊藤裕之

日程 3コマ目

鑑別診断を考えた身体診察法の学習

講師名・所属
(敬称略)
大滝 純司  東京医科大学総合診療科
錦織 宏  ダンディー大学医学教育センター 
増田 浩三  名古屋大学総合診療部 
菊川 誠  米の山病院総合診療科
川島 篤志  市立堺病院総合内科
対象 医学部4年生以上〜卒後2年目までの研修医
セッションの紹介

 プライマリ・ケア医として診療するには、医療面接と身体診察の情報をもとに鑑別診断を考える能力がとても重要です。しかし基本的な身体診察の学習は、まず手つきや手順を網羅的に覚えるよう指導されることが多く、それらを盲目的に丸暗記する学習になることが少なくないようです。私たちの研究グループは、基本的な診察手技を鑑別診断と組み合わせることで、身体診察をより効果的に学ぶことができる教材や実技試験の開発を目指して研究を続けています。
 今回は、この研究活動を紹介すると共に、今までに開発した教材を用いて、学生や研修医の皆さんに学んでいただく予定です。なお、研究の資料にするため、当日アンケート調査を行いますので、あらかじめご了承ください。

日程 1コマ目、2コマ目

家族志向型ケア

講師名・所属
(敬称略)
菅家 智史  福島県立医科大学 地域・家庭医療部
吉本 尚  奈義ファミリークリニック
清田 実穂  横浜南共済病院 麻酔科 清田 実穂
対象 どなたでも
セッションの紹介 家庭医に必要な技術はいろいろありますが、その中でも「家庭」医らしい技術である「家族志向型ケア」について勉強してみませんか?

家族を意識して診療をすると、患者さんと会うのがもっと楽しくなったり、家族と知り合うことが、とてもワクワクするようになったり、患者さんの家族に会い、関わることで新たな世界が見えてきたりすると思います。

このワークショップではロールプレイを使用しながら、家族志向型ケアの基本原則やツールを紹介します。ロールプレイが初めてでも講師陣がコーディネートするので大丈夫です。患者さんやその家族とより上手に付き合うために役立つ「家族志向型ケア」をいっしょに学び合いましょう。

日程 1コマ目、3コマ目

身体診察初級

講師名・所属
(敬称略)
鈴木 富雄  名古屋大学医学部附属病院 総合診療部
対象 低学年〜
セッションの紹介  昨年のセミナーで大盛況だった身体診察初級を今年も行います。現代の日本では多くの画像診断が行えますが、身体診察は診療の基本です。また日本にいても画像に頼れない状況はいくらでもあります。このセッションでは前半で身体診察の利点・欠点をもう一度考え、後半で実際にやってみることでその重要性を体験していただこうと思います。これから身体診察を学んでいく上でのモチベーション作りにもなるはずですので、低学年の方もお気軽にご参加ください。準備は特にいりませんが、自分の聴診器をお持ちの方はご持参ください。
聴診器や打鍵器をお持ちの方は持参してください。
日程 3コマ目

プライマリケアで用いる漢方

講師名・所属
(敬称略)
野上 達也  富山大学大学院医学薬学研究部(医学)和漢診療学講座
対象 漢方に興味のある方
セッションの紹介  私は、将来良い家庭医になりたいと考えている漢方医です。
 漢方医学は、問診と独特の身体所見から患者の漢方医学的な病態(証)を捕らえることで、様々な病態に対して臨床効果が得られる我が国伝統の実践医学です。現代医学的には対応が難しい病態に対しても、全く違った方向からアプローチができるという点で、西洋医学に精通した上で漢方が使いこなせれば「鬼に金棒」といえるでしょう。
 近年、漢方薬の有用性が注目され様々な領域で用いられるようになってきています。しかし本当に有効に使われているかというとまだまだ不十分なようも感じます。アレルギー性鼻炎=小青竜湯、術後イレウスの予防=大建中湯、風邪=葛根湯、といったように西洋医学的病名で処方されていることも多いのではないでしょうか?しかしそれだけでは漢方の力は生かしきれない。もっと生かさなければもったいない。
 では、どうしたらよいか?どうしたら、もっと有効にプライマリケアに生かせるのか?
 私は「急がば回れ」、漢方薬は漢方医学的な考え方に基づいて用いることが最も確実かつ安全に漢方薬の特性を生かす方法だと考えています。
今回のセッションでは限られた時間の中ですので、漢方医学の基本的知識と、書物からでは実感にしくい脈診・舌診・腹診について、実技を中心にご経験いただきたいと考えています。また、臨床で役に立つコネタをお土産に用意いたしますのでお楽しみに。対象は漢方に興味がある方ならばどなたでも結構です。
日程 1コマ目、2コマ目

医療資源をあやつる

講師名・所属
(敬称略)
池尻 好聰  亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科
大石 愛   亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科
小宮山 学  亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科
本山 哲也  亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科
鈴木 早苗  亀田ファミリークリニック館山看護部
石井 春子  亀田ファミリークリニック館山ケアマネージャー
大谷 健   亀田ファミリークリニック館山リハビリ
ほか・・事務、ヘルパーなど
対象 全員(他職種とコラボしたい人)
セッションの紹介  家庭医の診療の場では、患者さんの抱えている問題が多種多様にわたり、医師の持っている資源だけではそれらの問題が解決できないことも多々あります。
 そんなときでも、他職種の力を借りるなど、医療資源を上手に利用することによって患者さんの問題を解決できることがあります。
 当セッションでは、当院で現在働いてる医師以外のスタッフ(外来看護・訪問看護・事務・リハビリ・ソーシャルワーカー・ヘルパーなど)とともに、ロールプレイなど交えながら、他職種と上手に協力していく方法を一緒に考えていきたいと思います。
 自分の力だけが患者さんに関わる際のすべての武器ではない!ということを実感してもらえたらと思います。
日程 3コマ目

膝と腰の診察の極意

講師名・所属
(敬称略)
仲田 和正  医療法人社団健育会 西伊豆病院院長
対象 高学年および研修医(内容が具体的な診察内容ですので、低学年では興味が持てないと思います。)
セッションの紹介  皆さんは、内科的な身体診察については大学の講義で詳しく学ばれると思います。しかし診療所では整形外科的な訴えも大変に多いのです。
 私は、内科、小児科、整形外科の3科をこなすことができれば僻地診療所であっても90%以上の患者さんに対応できるし、どこでも開業できると思っております。プライマリーケアの現場では、それほど重要な整形外科であるのに新医師臨床研修制度になぜか整形外科が入っておりません。
 このセッションでは整形疾患の中でもとくに訴えの多い膝と腰の診察についてお話します。抽象論を廃し、翌日から即、使える知識を提供いたします。ケアネットテレビでも特に視聴満足度の高かった内容です。
日程 1コマ目、2コマ目

異文化コミュニケーション

講師名・所属
(敬称略)
岡田唯男 亀田メディカルセンター 家庭医診療科
対象 どなたでも(低学年の人は社会人経験のある方や「患者」として医療機関にかかった経験のある方が望ましいです)
セッションの紹介

 全ての人が必ず「偏見」を持っています。
 人の肩書きや身なりで勝手な思い込みをしていませんか? 
 逆に同じように見えるというだけで、
 家族や恋人のように親しいというだけで、
 「自分と同じ考えのはず」と思い込んで失敗していませんか?
 臨床現場でのトラブルの多くはコミュニケーションの問題から生じますが、「(無意識の)思い込み」が大きな原因の一つです。
 異文化との交流を考えることで無意識の思い込みに気づき、それを意識した上でのコミュニケーションを目指すことができれば、「究極の個別化の医療である家庭医療」の実践において、そして毎日の周りの人とのコミュニケーションで
 大きな一歩を踏み出せるのではないでしょうか。
 コミュニケーショントラブルの陰に潜む「(無意識の)思い込み」について参加型のセッション形式で楽しく、そして真剣に理解を深めたいと思います。

 対象はどなたでも結構です(低学年の人は社会人経験のある方や「患者」として医療機関にかかった経験のある方が望ましいです)

日程 2コマ目