医学生・研修医のための
家庭医療学夏期セミナー

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最終更新日 2005.06.21

第17回家庭医療学夏期セミナー 2日目セッション

 2日目は選択制のセッションを開催します。セッションは3コマあり、それぞれ特徴ある内容を計画しています。コマごとに開催するセッションが異なりますので、ご注意ください。セッション希望は先着順ですので、早めの申し込みをおすすめします。

セッション名 1コマ目 2コマ目 3コマ目
EBM初めの一歩〜診断を例に〜  
Narrative Based Medicineへの招待〜医療のはざまから〜  
医療におけるコーチングの活用 〜明日から使えるコーチング・スキル〜    
ウィメンズヘルス    
家族との関わり合い  
家族ライフサイクル論  
家庭医らしい外来診療とは?〜外来で君は、患者さんと何を話すか〜  
患者教育/健康教育〜行動変容を促す面接〜  
患者中心の医療  
癌の告知と死の臨床    
膝と腰の診察の極意    
在宅ケア  
シネメデュケーション  
身体診察初級  
真に医療面接に迫る!    
プライマリケアでの小児の診かた    

EBM初めの一歩〜診断を例に〜

講師名・所属
(敬称略)
松島雅人 東京慈恵会医科大学総合診療部・臨床研究開発室
対象 EBM初学者
セッションの紹介  EBMの5つのステップって何?PECOってどうやって作るの?批判的吟味はなぜ必要?感度,特異度って何だっけ?診断でもエビデンスが使えるの?・・・など人にはなかなか聞きにくいことって多いですよね。そこで、「EBM初めの一歩〜診断を例に〜」を企画しました。題材は、今のところ溶連菌性咽頭炎の診断を予定しています。
学校の授業でEBMをやったけどよく分からなかった方、EBMはほとんど知らないけどちょっと学んでみたい方など、EBMについて興味のある方ならどなたでも歓迎です。
日程  1コマ目、2コマ目

Narrative Based Medicineへの招待〜医療のはざまから〜

講師名・所属
(敬称略)
今村弥生 浦河赤十字病院
寺田豊 町立厚岸病院
対象 幅広く 低学年〜研修医の方が対象です。
セッションの紹介

 「患者さんの疾患(disease)よりも、病い(illness)が重要」という教訓は、私たち医療者にとって聞きなれて、言い古された表現です。患者さんにとっての病いの物語に注目したNarrative Based Medicine-NBMが提唱され、様々な角度から研究されています。さてあなたが、医療の現場に出た時に始まる「物語」はどんなものになるでしょうか?人は何事にも、意味づけをしながら生きており、その蓄積である物語が人生と呼ばれます。ある人が病気になった時、その病は人生という物語の一部で、しかも登場人物の一人として医者のあなたがいます。このセッションは、EBMの限界から生まれたNBMという視点から、有効な治療法のない症例を取り上げ、小グループごとの討論とロールプレイで、同じ症例にどんな捉え方があるかを模索していくものです。医療者が患者さんを治癒させる物語ではありません。しかしその中にある出会いと、ただ寄り添うことから生まれる感動を皆さんに伝えたいと思います。

日程  1コマ目、3コマ目

医療におけるコーチングの活用 〜明日から使えるコーチング・スキル〜

講師名・所属
(敬称略)
篠塚雅也 東京保健生活協同組合大泉生協病院(元よみせ通り診療所所長)日本生涯教育開発財団認定コーチ
対象 セッションに興味を持った全ての方
セッションの紹介

 コーチングとは、「人々が自分自身を開発し、さらに効果的になれるように必要な道具、知識、機会を授けていくプロセス」(デビッド・ピーターソン『Leader As Coach』)であると言われています。
医療技術は、日進月歩とはいえ、医療の中でコミュニケーションの占める領域は少なくありません。特に、家庭医療ではその比率が大きいと言えましょう。
医療の中でのコミュニケーションは、医療従事者と患者・家族、医療従事者同士のコミュニケーションに大きく分けられますが、どちらの場面においてもコーチング・スキルを活用することによって、コミュニケーションを円滑にし、その結果として、成果を上げることが可能です。
 今回のワークショップでは、実習を交えながら、コーチングとは何か?コーチングによってコミュニケーションがどう変わるかを体験していただき、明日からのコミュニケーションに生かせるようにしたいと思います。コーチングという言葉を聞いたことのない人も、コーチングをかじったことのある人も明日から使えるコーチング・スキルを紹介します。病院実習で、クリニカル・クラークシップで、部活で、そして恋愛で。明日からのあなたのコミュニケーションをバージョンアップしてみませんか?

日程  3コマ目

ウィメンズヘルス

講師名・所属
(敬称略)
井上真智子 東京ほくと医療生活協同組合 北部東京家庭医療学センター北足立生協診療所
セッションの紹介

 家庭医の診る患者さんのうち約6割が女性です。男性患者さんの場合と違ってどんなことを意識して診療にあたればよいのでしょうか。
月経にまつわる問題、妊娠、出産、子育てに関連した問題、性に関する問題、更年期や老年期に起こる問題、女性に起こりやすい心理・社会的問題など、女性患者の抱える問題はたくさんあります。これらに取り組んでいきたいけれど少し自信がないという方を対象に、より自然にウィメンズヘルスにかかわっていけるようになることを目的とした入門編ワークショップです。家族との関係、ライフサイクル上の視点なども含めた家庭医の実際のアプローチについても、ケースを通して学んでいただく予定です。

日程  3コマ目

家族との関わり合い

講師名・所属
(敬称略)
原田唯成 山口大学医学部附属病院総合診療部
齊藤裕之 奈義ファミリークリニック
対象 制限はありません。低学年でも、初心者でもOK。興味のある方はぜひ、ご遠慮なくどうぞ。
セッションの紹介

 家族というのは一番身近な社会単位。ある患者さんに問題が起こったとき、患者さんの「個体」の問題ではなく「家族」という単位で考える必要がある、という場合があります。そんな時、どのように御家族と関わるか、どんな点を重視するのか・・・。家族の誰かが病気になったとき、または困った問題に直面したとき、そのとき家族はチームとしての機能を問われます。家族というチームが不安定になった時、医師は患者さん自身をサポートすることだけでなく、家族が機能を維持できるよう配慮しなくてはなりません。
家族のメンバーそれぞれの役割や負担の変化に目を配りながら診療をしていく上では欠かせない「家族へのアプローチ」、ロールプレイを通して体験してみませんか?ひとつとして同じ家族はありません。ロールプレイのメンバーが異なると結末もガラッと変わってきます。 どの役になっても、あなたの目の前で「どこかで本当にあるかもしれない」ひとつの家族の人生の一幕が始まります。きっと面白い貴重な体験ができると思います。

日程  1コマ目、2コマ目

家族ライフサイクル論

講師名・所属
(敬称略)
竹中裕昭 竹中医院
対象 「ライフサイクル論」に興味を持つ方ならどなたでも
セッションの紹介  「家族ライフサイクル論」「家族システム論」…家庭医療の中でも基本的となるこれらの概念ですが、何だか名前を聞くだけで敬遠したくなりませんか?
それぞれの家族には、ある程度共通した歴史があります。一組のカップルが結ばれ「家族」が生まれます。やがて出産、育児に子供の反抗期、そして子供達は新たな家族を生み出していく…その中で家族は、喜びを分かち合い、いがみ合い、協力しあって、さまざまな「壁」を乗り越えながら育まれ、そして老いていきます。この一連の過程は、何世代にも渡って受け継がれ、家族ライフサイクルを形成していきます。
このワークショップでは、私たちが患者さんの御家族に関する悩み、家族問題に起因したと考えられる健康問題に直面したとき、「家族ライフサイクル」という視点から検討する方法を学びます。日頃あまり意識しない“家族”。「家族って何?」から始め、「どんなときに家族問題が起こりやすいの?」「家族ライフサイクルに起因した家族問題の解決の仕方は?」まで、紐を用いた体験型モデルを中心に、皆さんと一緒に考えていきましょう。

今回のワークショップで期待していただきたいこと
○ 家族システム(Family system)とは何かを理解する。
○ 家族ライフサイクル(Family lifecycle)を通して変化する家族システムを理解する。
○ 家族図(Family genogram)を用いて家族ライフサイクルを捉える。
○ 家族ライフサイクル上の問題に対して、一般的にどう対応するかを理解する。

今回のワークショップでは不十分なこと
○ 家族の個性を理解する。
○ それぞれの家族に固有の家族ライフサイクルについて触れる。
○ 実際の診療場面を体験する。
○ (時間の関係上)アイスブレーク、このワークショップの参加者同士が知り合いになる。

日程  2コマ目、3コマ目

家庭医らしい外来診療とは?〜外来で君は、患者さんと何を話すか〜

講師名・所属
(敬称略)
大橋博樹 聖マリアンナ医科大学総合診療内科
山下大輔 北部東京家庭医療学センター/生協浮間診療所
西岡洋右 亀田メディカルセンター家庭医診療科
田口智博 亀田メディカルセンター家庭医診療科
伊藤かおる 亀田メディカルセンター家庭医診療科
対象 医学部高学年〜研修医
セッションの紹介  家庭医の外来にやってくるのは病気をもった人達だけでしょうか?また、患者さんとのかかわりは、病気を診断し治療することだけでしょうか?家庭医の特徴の一つである“ずーっと患者さんとお付き合いする”ということにはどんな意味があるのでしょう。患者さんとの外来診察室での出会いを機会に、病気や怪我の予防に努めたり、隠れているかもしれない病気を引き出すのも患者さんの良きパートナーとしての家庭医の役目ではないでしょうか?
今回は医学部高学年〜研修医の人を対象に、ロールプレイ等を通して実際の診療の中で、どのように怪我、病気の予防や健康管理をしていくか一緒に学びます。貴方も家庭医の診療風景を感じて見ませんか?また、皆さんにお土産として「すぐ使える、ずっと使える小テキスト」を配布予定です。
血圧を測りに来るだけの患者さん、検診異常の患者さんなんてつまらない。そんな風に思っていた、あなた!考えが変わりますよ!
日程  2コマ目、3コマ目

患者教育/健康教育〜行動変容を促す面接〜

講師名・所属
(敬称略)

横谷省治 三重大学医学部附属病院総合診療部
藤原靖士 奈良市立月ケ瀬診療所
松下明 奈義ファミリークリニック

対象 低学年〜研修医までだれでも
セッションの紹介  糖尿病,高血圧症,虚血性心疾患などは生活習慣病と呼ばれます。これらの疾患の発症や進行に食生活,運動,喫煙,飲酒,休養,ストレスなどのライフスタイルが深く関わっているからです。
では,医療者はどのように患者あるいは住民の生活習慣病予防・治療に取り組めばよいのでしょうか。
行動変容とは,生まれてこのかた培われてきた行動のパターンを,望ましいものに変えていくことを言います。健康のための行動変容は,例えば塩辛いものが好きだった人が適切な塩分量の食習慣を身につけるなど,これまでの習慣,ライフスタイルを変えることに他なりません。ライフスタイルの変更にストレスが伴うことは想像に難くなく,かくして行動変容に抵抗はつきものなのです。
いかに対象者にやる気を持っていただくか。常に患者さんの,住民のそばに寄り添う家庭医が,本領を発揮できる分野だと思います。家庭医らしさを出しながら,ロールプレイを交えて基本的なことを中心に,楽しく学んでいきたいと思います。
日程  1コマ目、2コマ目

患者中心の医療

講師名・所属
(敬称略)
日鋼記念病院レジデントの先生方
対象 興味のある方どなたでも
セッションの紹介  「患者中心の医療」とは?いったいどのようなことが、患者さん中心の医療といえるのでしょうか?このセッションでは、講義、ロールプレイを通じてその具体的な方法を学びます。明日からあなたと患者さんの距離がグンと近づくはずです。みなさん、ぜひご参加ください。
日程  1コマ目、2コマ目

癌の告知と死の臨床

講師名・所属
(敬称略)
寺本量子 筑波大学附属病院総合診療部
対象 セッション内容に関心を持ったひと
セッションの紹介  われわれ医療者は、疾患の治療や対処法を通じ「生きる」ことを目標とし教育を受けます。そのためなのかは分かりませんが、医療者が「死」について患者さんと話すことは難しく感じることが多いように思われます。どの専門領域へ進もうとも、癌の告知は遭遇する問題であり、ときにそのことが「死」を宣告するに等しいこともあります。しかし、患者さんへの病状説明の仕方に関する医療者への教育はまだ十分でないように感じられます。今回のワークショップでは、コミュニケーション技術の一つである、「SPIKES」で表される方法を用いて、医療現場でのコミュニケーションを学ぶことを目的としています。
日程  3コマ目

膝と腰の診察の極意

講師名・所属
(敬称略)
仲田和正 医療法人社団健育会 西伊豆病院院長
対象 高学年および研修医
内容が具体的な診察内容ですので、低学年では興味が持てないと思います。
セッションの紹介  「膝と腰の診察の極意」
皆さんは、内科的な身体診察については大学の講義で詳しく学ばれると思います。しかし診療所では整形外科的な訴えも大変に多いのです。
私は、内科、小児科と整形外科ができれば僻地診療所であっても90%以上の患者さんに対応できると思っております。プライマリーケアの現場では、それほど重要な整形外科であるのに新医師臨床研修制度になぜか整形外科が入っておりません。
このセッションでは整形疾患の中でもとくに訴えの多い膝と腰の診察についてお話します。抽象論を廃し、翌日から即、使える知識を提供いたします。ケアネットテレビでも特に視聴満足度の高かった内容です。
日程  1コマ目

在宅ケア

講師名・所属
(敬称略)
下田泰彦 大和クリニック
対象 どなたでも
セッションの紹介  在宅医療、訪問診療、往診、いろんな言葉は存在しますが、難しいことはぬきにして、どんな現場を想像してますか?いったい在宅の現場で医者は何をしているんでしょう?「在宅医療ってやってて楽しいですか?」ってよく聞かれます。「いやーめちゃくちゃ楽しいよ!」って答えてます。本心です。いろんな職種が関わる在宅の現場ですが、中でも医者の視点からの在宅医療の面白み、醍醐味をほりおこしてみたいと思います。「在宅医療」という言葉には何となく興味は持っているけど知識はあまり無い、という方大歓迎です。
日程  1コマ目、3コマ目

シネメデュケーション

講師名・所属
(敬称略)
日鋼記念病院のレジデントの先生方
対象 全ての方に!
セッションの紹介  ずっと心に残っている映画はありますか?「シネメデュケーション」はシネマとエデュケーションを混ぜ合わせた造語です。あるテーマに沿った映画の一部分を見た後に、自由なディスカッションをするというものです。映画の中で家庭医の視点、家庭医的なアプローチを学びます。感情や人間関係などについてnarrative(言葉・対話・物語)に注目してディスカッションしていく「シネメデュケーション」。明日から映画の見方が変わるかもしれません!
日程  1コマ目、3コマ目

身体診察初級

講師名・所属
(敬称略)
鈴木富雄 名古屋大学医学部附属病院総合診療部
対象 低学年(主に1〜4年生)
セッションの紹介  身体診察は、全ての医師の診察の基本であると同時に、家庭医の真骨頂といえる分野です。身体診察手技を実際にやってみること通じて、その重要性と奥深さの一端を体験していただくことを目的とします。
準備も何もいりませんので、気軽に参加してください。皆で楽しく学びあいましょう!
日程  2コマ目、3コマ目

真に医療面接に迫る!

講師名・所属
(敬称略)
竹村洋典 三重大学医学部附属病院総合診療部助教授
飛松正樹 三重大学医学部附属病院総合診療部
福田雅行 三重大学医学部附属病院総合診療部
川尻英子 三重大学医学部附属病院総合診療部
稲田美紀 三重大学医学部附属病院総合診療部
中村太一 三重大学医学部附属病院総合診療部
対象 学生、研修医、年齢問わず、真の医療面接を知りたい、または、極めたいと思っている方々
セッションの紹介  初級から上級までの「医療面接の真髄」に迫ります。
イントロダクションの後、何人かの患者が現れますので、参加者の代表数名に医療面接をしてもらいます。患者から、何が導き出せたか???そして導き出せなかったか???
 その後に、思いもしない患者の側のセオリーが暴露されるかも?!患者の世界は、必ずしも医師の世界とは、同じではない・・・。そして、患者の世界は、患者自信にも知られていないかも・・・。知らなくてはいけない、しかし、教えられていない医療面接の真髄がこのセッションの参加者には、理解してもらえるでしょう。中途での発言大歓迎!!!セッションの終わりにはきっと感動と満足感の渦に皆様はいるでしょう!!!ご期待!!!
日程  2コマ目

プライマリケアでの小児の診かた

講師名・所属
(敬称略)

田中久也 奈義ファミリークリニック

セッションの紹介  小児のセッションでは子供の成長に焦点を当て、生まれてから高校生になるまでに経験する体と心の変化、家族のかかわり、そして家庭医の役割を概観します。みなさんとともに家庭医と子供、そしてその家族との関係を考えていきましょう。小グループでの討論を交えた講義形式で進行しようと思います。子供好きな皆さんのエントリーをお待ちしています。
日程  2コマ目